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遺留分侵害額請求

モデルケース 1

Aが亡くなりました。Aには妻Bと長男Cがいて、法定相続人は妻Bと長男Cです。
遺産は、Aが妻Bと二人で生活していた土地建物(評価額5000万円)、銀行の預金1000万円です。
Aは「公正証書遺言」を残し、「不動産・預金そのほかの財産はすべて妻Bに相続させる」旨が記載されていました。
遺言書の内容に不満のある長男Cは遺留分の主張をしようと考えています。

【遺産の内訳】

① 不動産(評価額5000万円)
② 銀行の預金1000万円

モデルケース 1を基にした解説

1. 遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

遺言については、別ページを設けていますので参照してください。詳しくはこちら⇒クリック
モデルケース1においてAは「公正証書遺言」を作成しています。

2. 民法には法定相続人と相続割合が規定されています。

妻と子は原則として常に相続人になります。
子がいない場合には父母が相続人となり、父母が死去している場合には兄弟が相続人になります。

モデルケース1の場合、妻Bが2分の1、長男Cが2分の1という相続割合になります。

3. 遺留分とは

民法1042条には遺留分が規定されています。
直系尊属(例えば父母)のみが相続人である場合には被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には2分の1が遺留分になります(「相対的遺留分」といいます)。
そして、遺留分の財産の中から個別の相続人の遺留分を法定相続割合に従って計算します(「個別的遺留分」といいます)。
モデルケース1の場合には、遺産は不動産5000万円と預金1000万円の合計6000万円です。相対的遺留分は2分の1なので3000万円になります。
長男Cの法定相続割合は2分の1なので、個別的遺留分は3000万円の2分の1、すなわち1500万円となります。

4. 遺留分侵害額請求の期間制限

相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った日から1年間行使しなければ時効により請求権は消滅します。また、相続開始の時から10年経過したときも消滅します(民法第1048条)。

5. 遺留分侵害額請求の行使方法

遺留分を侵害している相手方へ意思表示することで効力が発生します。
行使方法の定めはないので、口頭、メール、FAXでも可能です。しかし、制限期間内に遺留分侵害額請求をしたことを証明するには内容証明郵便によることをおすすめします。
また、遺留分侵害額請求がなされると遺留分を侵害している部分を返還することになりますが、これまでは持分での返還が原則でした。ですから不動産を贈ったことが遺留分を侵害する場合には不動産の持分での返還が原則でした。しかし、民法の改正により、令和元年7月以降に発生した相続では相当価額での返還を求めることとなりました(民法1046条)。

 

モデルケース 2

Aが亡くなりました。Aには妻Bがいます。Aには子供が無く、両親も亡くなっています。一方でAには弟Dがいます。
法定相続人は妻Bと弟Dです。
遺産は、Aが妻Bと二人で生活していた土地建物(評価額5000万円)、銀行の預金1000万円です。
Aは「公正証書遺言」を残し、「不動産・預金そのほかの財産はすべて妻Bに相続させる」旨が記載されていました。
遺言書の内容に不満のある弟Dは遺留分の主張をしようと考えています。

【遺産の内訳】

① 不動産(評価額5000万円)
② 銀行の預金1000万円

モデルケース 2を基にした解説

1. 遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

遺言については、別ページを設けていますので参照してください。詳しくはこちら⇒クリック
モデルケース2においてAは「公正証書遺言」を作成しています。

2. 民法には法定相続人と相続割合が規定されています。

妻と子は原則として常に相続人になります。
子がいない場合には父母が相続人となり、父母が死去している場合には兄弟が相続人になります。

モデルケース2の場合は、妻Bが4分の3、弟Dが4分の1という相続割合になります。

3. 遺留分とは

民法1042条には遺留分が規定されています。
直系尊属(例えば父母)のみが相続人である場合には被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には2分の1が遺留分になります(「相対的遺留分」といいます)。
そして、遺留分の財産の中から個別の相続人の遺留分を法定相続割合に従って計算します(「個別的遺留分」といいます)。

4. 兄弟が相続人の場合

モデルケース2の場合には、相続人が妻Bと弟Dです。
遺言に従うと妻Bがすべてを相続することになりますが、弟Dには遺留分はないのでしょうか。
民法1042条には、「兄弟姉妹以外の相続人」が遺留分の対象と定められています。
したがって弟である弟Dには遺留分が無く、弟Dは遺留分侵害額請求をできないことになります。

5. 遺留分侵害額請求の期間制限

相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った日から1年間行使しなければ時効により請求権は消滅します。また、相続開始の時から10年経過したときも消滅します。

6. 遺留分侵害額請求の行使方法

遺留分を侵害している相手方へ意思表示することで効力が発生します。
行使方法の定めはないので、口頭、メール、FAXでも可能です。しかし、制限期間内に遺留分侵害額請求をしたことを証明するには内容証明郵便によることをおすすめします。
また、遺留分侵害額請求がなされると遺留分を侵害している部分を返還することになりますが、これまでは持分での返還が原則でした。ですから不動産を贈ったことが遺留分を侵害する場合には不動産の持分での返還が原則でした。しかし、民法の改正により、令和元年7月以降に発生した相続では相当価額での返還を求めることができるようになりました。

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